少年
遠い遠い記憶の向こう
薄暗い 小さな部屋の片隅で
少年は一本のギターを作る
それは まだ
音の鳴らない未完成のギター
幾度となく過ぎゆく季節
景色は変わり
人々は変わり
街は変わり
空だけが
変わらぬ雲を
ポカンとたたえていた
少年は今もギターを作り続ける
いつの日か
きっと
そのギターから聞こえる
素敵な音色を夢見て
少年は今も
少年のままだ